シローの定理(4)-1に取り掛かる。と言ってもこれを書いてる時点で終わってるんだけどね。
シローの定理もいよいよ最終の(4)まで来ました。さすがに歯ごたえがあったよ。まぁ基本的な定義とかがあいまいなままで取り掛かってるから、というのが難しさに拍車をかけてるような印象だけどね。でも学生レベルならそれも致し方なかろう。
今回も前回同様こちらの講義で勉強してます。視聴後にこの記事を見れば何をやってるのか、より分かりやすくなると思うよ。
それでは本題に行きますか。まずは前提とか定理とか。
今回からペンを換えたけど、十分見えるだろうから問題はなさそう。定理だけど、まずは(4)-1ということで、sをpで割った余りが1になることだけに絞ってます。
次にこれまた前提となる集合とか作用とかを考えておく。
Yの定義はきちんと確認のこと。あと、H1をHとして固定しておく。一般にHiとしてもいいはずだけど、どれでもいいならH1でも問題ない、という感じ。
ともかくこの固定したHを使ってYへの作用を考える、と。さらに作用があれば軌道や固定化部分群が出来て、さらにYを軌道によって分類できるだろう、と。こんな感じ。
ここで軌道による分類は講義の中ではいい感じに、と言ってるけど、これはもちろん同じ軌道は2回数えないように、ということね。軌道に複数の元が入る場合だと、「いい感じ」にしないと重複して数えることになっちゃうし。
すると位数をこんな風に表せるだろう、と。
この段階で改めて確認だけど、軌道に含まれる元とYの元が1対1に対応してることは注意。複数の元が含まれる軌道にはそれと同数のYの元が対応してるし。軌道を考えれば当然だと思うけど、微妙に納得しづらい気もするので軌道の図でも用いて考えるのが良さそう。「いい感じ」の意味も見て取れるだろう。
さて、ここで一旦話が変わって、次を考える。すなわち、G:群、H:その部分群としてHの正規化群N(H)を考える。この時HはN(H)の正規部分群になる、ということなんだけど、こんな感じ。一応正規化群の定義も書いておく。
とりあえず証明していきますか。とりあえず
を示せばN(H)の部分群であることは確定。さらにN(H)の定義をよくよく見れば、正規部分群であることも成り立つのがわかるはず。ということで上を示すが、まず
は明らか。よって逆向きの包含を示せばよかろう。それがこちら。
今、
とすると
となるから、これで逆向きの包含も言えた。この辺の変形はよくある形なのでどうとでもなろう。ともかくこれでHがN(H)の正規部分群になることが言えたはず。
さて、ここで話を戻して証明の続きに入るが、そのために一旦次の状況を考える。
Hiの軌道に含まれる元がただ一つ、つまりHiのみ、という状況。この時何が言えるのか?ということを考えてみる。まずは式を同値命題でつないでみると
こうなるだろう。二番目は軌道に元が1つしかないんだから、何を作用させても行きつくのはその元しかないだろう、ということ。さらに正規化群を使って二番目を言い換えたのが三番目、という感じ。問題はないと思うが。
ともかくこれでHがN(Hi)の部分群であることは確定した。さらに先ほど別口で考えたことを用いればHiがN(Hi)の(正規)部分群であることも良いだろう。
つまり、HとHiはともにN(Hi)の部分群となるから、その位数はN(Hi)の位数の約数になる。以上を踏まえてこの辺を整理すると
が成り立つはず。正規化群はもちろんGの部分群だし、それを考えればこのような大小関係が当然成り立つはず。さらにGとN(Hi)の位数について考察する。
Gの位数をこんな風にmを因数分解する。
この時各miはpと互いに素ね。さらにN(Hi)の位数はGの位数の約数だから、上のmiをいくつか取ってこんな風に表せるだろう。
pのa乗が残るのはHの位数を考えた結果。大小関係を考えれば当然のはず。
さて、N(Hi)の位数がこのように表せる、ということはつまりHとHiがともにN(Hi)のp-シロー部分群であることを意味するはず。
するとシローの定理(3)から次が言えるだろう。
つまり最初の仮定、Hiの軌道に含まれる元が一つ、ということならそれはH自身になるほかはない、ということになる。
この部分をまとめるとこんな感じ。
上二つの同値はいいとして、三番目の左向きの矢印は二番目の式を挟むことでこれまた明らか、ということになるだろう。
ともかくこれで軌道の元が1個ということがどういうことか明らかになったと言える。
さて、これで必要な情報が出そろった、ということで最初の方で止まってた証明の続きをやっていこうと思う。これだけど
この続きをこんな風に展開していく。
和のH1だけを先に取り出すが、もともとH=H1だったので、その軌道の元の個数は1になるだろう。さらにほかの軌道についてだけど、H1以外は当然Hと異なるから、その軌道に含まれる元の個数は1にはならない。まぁこれを言うために上で延々やってたわけだが。
さらに1を除いたシグマの中の軌道についてだけど、それぞれのHiについて作用と軌道と安定化群を使って位数をこんな風に表せる。
したがって軌道の位数はHの位数の約数になるはず。ところでHの位数はp^aだから、結局軌道の位数として取りうる値は、1かpのべき乗になるだろう。ところが軌道の位数が1でないことはすでに確認済みなので、最低でもpの1乗、つまりpの倍数になることが確定する。
するとシグマの部分は適当な自然数kを用いて
と表せる。この右辺をpで割れば、あまりが1だから、結局次が成り立つ。
これにてシロー定理(4)-1が示された、と。
ふぅ、以上とりあえず何とかなったかな。自分的にはそのつもりだけど、院生や教授、学部生にあれこれ突っ込まれたらあたふたするのは目に見えてるが。まぁその辺は今後経験を積むことでしか解消できまい。
さて、今後だけどとりあえずAKITOさんの講義の中のもう一つ、自分的にはシローの定理(4)-2というイメージだけど、それを片づけて、さらにexとして位数15の群について考える、という流れ。
例題については群の直積もからむし、その辺に対する自信は全くないので、復習がてらやらなきゃならないだろう、という感じ。
それでやっとシローの定理が終了、という感じです。
はぁ、それにしても長かったわ。もともと講義時間も1時間近いし、覚悟はしてたけどね。その1時間の講義を自分なりに消化して形にするのに丸二日はかかったと思う。まぁそれでもこうして消化できただけましだけどね。
今後もこの調子で行きたいけど、いずれどこかで行き詰まる、ということもあるのかね。ちょっと不安を感じたりとか。