KYUTAMのブログ

大学レベルの数学を中心に物理、英語学習、雑記なども適当に入れていくブログです。

離散距離空間というのは距離空間を考えるうえで割と適切な例だと思う

距離空間を考えるうえでもっとも障害になるのは、既存の知識、具体的にはユークリッド空間の常識的な判断だと思うけどどうだろう?

 

位相空間とか距離空間を学ぶうえでまず心がけるべきことは、そうした思考の土台の組み換えというか、そういう部分なんだと思う。恐らくこの辺の難しさはすべてそうした土台の組み換えが出来ていないことに由来すると思うわけ。

 

ではどうするか?ということだけど、今回距離空間を学ぶに当たってあっちこっち調べたわけだけど、距離空間の例ということでこちらを大いに参考にしました。

www.youtube.com

とりあえず位相について多少知識がついてきたころに視聴するにはちょうどいい感じだと思う。ここでは様々な距離空間の実例を考えるわけだけど、特に自分が興味を持ったのは離散距離空間というもの。

 

なんとなく数学的な思考の対象にはなりにくそうな印象だけど、一方で距離空間というものが自分の常識とはかけ離れたものであることを認識するにはちょうどいいと思う。

 

今回はそのへんをまとめてみた感じです。あ、もちろんこっちもいつも通り学習の軸として参照してますよ。

mathematicspedia.com

 

 

さて、それじゃあ早速離散距離空間について考えてみますか。まずは定義から。

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といっても基本これだけです。自分自身との距離が0、自分と異なる点との距離が1,という距離を考えるわけ。これが距離の公理の3条件を満たすことは容易に確認できるだろう。

 

ただしこの時点でまず考えるべきことが出てくる。それは公理の3番目、三角不等式についてだけど

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これはもちろんいいんだけど、離散距離についてこんなことが成り立つことがわかるだろう。

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ちょっと誤解を恐れずに言えば、図のような位置関係において1=2,もっと言えば1と任意の自然数が等しくなってしまうことがわかるだろう。

 

もちろん1=2なんて式が成り立っては困るわけで、じゃあどう考えるのか?ということになる。

 

もちろん今の自分にその辺のはっきりした回答があるわけじゃないんだけど、例えば二点を結ぶ直線、とか、その直線上の点、という考えはユークリッド空間だからこそ認められるので、一般の距離空間では受け入れられない概念なんじゃないか?と。

 

あるいはこの状況で1+1=2をxとzの距離とみなすことに正当性はあるのか?という疑問もある。定義から二点間の距離はあくまで1が正しいはずで、途中経由したものを挟んでそれを二点間の距離と同一視することはまずいんじゃないか?という思いもある。

 

ともかくこんな感じではっきりした回答はないんだけど、少なくともこれを見れば距離空間というものが自分の常識に合致しないことは見て取れると思う。

 

こういう場合数学では定義だけを軸に据えて、それ以外は全部捨て去る必要があるだろうと思うよ。まぁそれが難しいから悩むんだけどさ。

 

 

続いてだけど、集合に距離が定まればそれを使って開球というものが定義できるだろう、と。こんな感じね。

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左辺はxからの距離が1/2未満の元全体の集合、ということになるだろう。イメージはあくまでxを中心に円を描く、という感じだけど、距離の定義を考えればこの中に含まれるXの元はxしかあるまい。したがって=右辺が成り立つはず。

 

ところでこの考えだと開球の半径をもうちょっと広げた、こんなものも集合としては同じものになるだろう。

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これは定義から当然のはず。ということは半径が大きくなったにもかかわらず集合としては全く同じ、ということになって、この辺がユークリッド空間での思考となじまないわけ。つまり迷いの素となる、というかね。

 

さらに集合の包含を言うなら、半径が大きい開球が半径の小さい開球に含まれる、(この場合、同じものだけどさ)ということにもなるだろう。右辺のように具体的な集合で考えれば当然のことなんだけどね。

 

こういうことを受け入れるにはそれなりの時間というか、経験が必要になってくるんじゃないか、という感じです。そして比較的多くの人がその事実を受け入れられないから、位相で単位を落とす学生がたくさんいるんじゃないか、とも考えられる。

 

 

あと開球についてだけど、離散距離空間について、距離として定義されてるのは0と1だけじゃない?なのに開球の半径をそれ以外で勝手にとっていいのか?というのも最初は疑問だった。

 

で、距離についての写像をあらためて考えると

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正の実数を開球の半径に取ることは特に問題ないはず、という理解に落ち着いたよ。

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この辺の疑問というか不安は自分だけかもしれないけど、今回の学習は自分の疑問点は出来るだけつぶしていくつもりだからね。こういうこともいちいち納得してから先に進みたいわけです。

 

 

さて、この辺まで何とか納得したら、後は開球を使って開集合を定義、それが位相になる、という流れ。で、実際にやってみたら離散距離から定まる位相は離散位相になるのかな。任意の部分集合が開集合になるというやつね。

 

自分の考えによるとそうなったけど、恐らく間違いではないと思うけど。

 

あと、離散位相について考えたけど、これって任意の部分集合は開集合であり、かつ閉集合でもあるはず。こういうこともユークリッド空間では成り立たないはずで、ともかくこの辺を乗り越えるには、いかに常識を捨て去って定義だけで物事を考えられるか、ということにかかってるんだと思うわけです。