近傍という概念をしっかり固める作業は欠かせないだろう
位相空間において近傍という概念が出てくると大分考えが散らばりだすというか。結局次々出てくる新しい概念に飲まれて、全部訳が分からなくなる、というのが普通の状態だと言えよう。たぶん学生時代の自分はそんな感じだったと思う。
今回はそういった轍を踏まないように、定義をいちいち確認しながら先に進むつもりです。そのため進行は遅くなりがちだけど、それはしょうがないだろう。
ともかくいつものようにこちらで学習していきますね。
さて、まずは近傍の定義だけど、その前に思考の土台となる舞台設定を確認しておく。近傍を考えるにあたって必要なのがこちら、位相空間になります。
近傍の定義に開集合が出てくるんだけど、そのため位相は必需品と言える。ただしこの段階で図によるイメージ、こんなやつね、
こういうイメージが適切かは微妙なところ。こういうイメージは明らかに開球を想像させるけど、現状では開球という概念が使える状況にはないと思う。あるのはあくまで位相空間だけで、そこに存在する開集合については具体的なイメージはほぼゼロ、と言っていいだろう。
その辺を踏まえつつ、近傍の定義がこちらになります。
先ほども言ったけど、近傍の定義に開集合が使われていることは割と重要だと思う。この先の証明にも使われるし、意識しておくべき。
あとこの定義から直ちに、xを含む開集合がxの近傍になることも言えるだろう。位相でよく使われる、U⊂U を使えばすぐにわかること。
さらに新たな定義として、近傍Vが開集合なら開近傍、閉集合なら閉近傍と呼ぶ、と。そこから次の二つが同値になることが言える。
を位相空間とし、 とする。 に対して、次の二つは同値である。
- (1) は の開近傍である。
- (2) は開集合であり、かつ である。
これは定義を考えればほぼ自明、と言っていいレベルの話。例えば開近傍なら開集合は当然だしね。そのレベルのことしか言っていない、ということを意識するべきか。
さて次に来るのが近傍の有限個の共通部分がまた近傍になる、というものだけど、これは位相における性質、開集合の有限個の共通部分がまた開集合になる、というのを使えばこれもほぼ自明と言っていいだろう。
さて、近傍に関して最後に出てくるのがこちらの同値条件。
位相空間 の部分集合 に対して、次の二つは同値である。
- (1) は の開集合である。
- (2) 任意の に対して、 の における近傍 であって となるものが存在する。
こっちも証明は定義通りやればどうということもないんだけど、一つ言うとしたら2から1を示す時に、1に開集合が出てくるのに、2には開集合が出てこないことはちょっと迷った。
この段階で開集合には具体性がないわけだし、どこから開集合をひねり出すのか?ということなんだけど、そこで出てくるのが2に出てくる近傍という概念なわけ。
結局近傍から出てくる開集合の和集合がUになる、という流れだけど、自分はそこだけは考えたよ。そして改めて近傍の定義を見直して再びここに戻って何とか納得できた、という感じでした。
さて、とりあえず近傍の定義はこんなところか。ほぼ何もやっていない、という印象だけど、それでも定義をきちんと納得するのも大変なのよ。
次回は基本近傍系、という話だけど、少し考えて何とか行けそうな雰囲気ではある。出来るだけ早く次の更新、と行きたいね。