ジョルダン標準形について、その3
本日はジョルダン標準形の計算の二回目で、標準形がこの形のやつね。
とりあえずこの形になる予定の行列ということでこれを用意しました。
形を見ればわかるけど、固有値が1の三重解で
となり、固有空間を調べるとこうなる。
固有値が1で固有空間の次元が2ということで、求めるべきジョルダン標準形は最初に示した通りこうなるわけ。
さて、ここから計算というか、色々調べるわけだけど、変換行列をPとすればこうなるだろう。
これをばらしてまとめるとこうなる。
ここでもちろん P=(p1,p2,p3) ね。
さて、この式を見ればp1,p2が固有ベクトルだとわかる。したがってこれらは固有空間の元から持ってくる必要があるけど、p2は①の条件次第では解なし、つまりp3が選べなくなる可能性が出てくるだろう。
そこで先に (A-E)p3 を調べて、それからp2を考える、という道筋を取るのが良さそう。固有空間がはっきりしてる以上、p1,p2はどうとでもできそうだしね。
ともかくそういう方向で行くからこちらを計算していくと
zはこの段階では任意定数だけど、これが固有空間の元であるはずのp2と一致するためには、例えばp2をこうとるのが良かろう。
だとするとz=1とすることでつじつまが合い、p3も求まるはず。実際p3はx,yを任意定数として
こうなる。さらにp3が固有空間に含まれないように考えると、x=y=0として、
とすればいいはず。後はp2,p3,固有空間を見つつp1を決めればいいから、例えば
とすれば、求める変換行列はこうなるわけ。
何だかこれも標準形になったけど、そのこと自体に意味はないと思う。
さて、これでとりあえず標準形の話が済んだけど気になる点があるとすればp3の選び方が自由すぎる、ということか。任意定数が二つもあるし、その値が何でもいいというのは、感覚的には納得しづらいものがある。
そこで一回他の値で試してみる。例えばp3をこうしてみると
同様の計算をすることでp2,p1はこうなり、
したがって変換行列はこうなる。
実際に計算すればこれが変換行列であることは確認できるはず。ともかくこのように変換行列はかなり自由に選べることがわかるわけです。
さて、これでとりあえずジョルダン標準形の計算が終了、という感じ。実際には4次以降の話で引っかかる部分もあるんだけど、ここにこだわりすぎるといつまでたっても重積分の話に戻れないし、中途半端ではあるけどこのくらいで線形代数はとりあえず終えることにする。
もちろんこれで線形代数が完璧だなんて思ってないし、実際のところこれでやっと教科書で1から勉強するための下準備が終わった、というのが本音でもある。今ならちんぷんかんぷんだった教科書も何とかついていけるんじゃないか、という感じですね。
自分としては線形写像と行列の繋がり、とりわけ表現行列とかの話とのすり合わせが全くできていない点は気になる。
また用語的にも相似とか最小多項式とか、ほとんど触れていない重要事項もあるし、有名教科書の単因子の話も見ておきたいとか、ともかくやれてないことはまだまだ山もり、という印象。
でも経験から言ってもいつまでも同じところに居続けるのは無駄になる可能性が高そうだし、それよりは微積分に戻ってそっちを進めるのも良いだろう、と、そんな感じです。
はぁ、それにしてもこれでやっと微積分に戻れるわ。時間がかかったけど、自力でやった部分が多かったことを考えればよく頑張ったよ。