ジョルダン標準形について、その1
最初のいっておくけど、以下は必ずしも正しいことを保証しません。初学者があれこれ考えたレベルの話なので、間違いがあっても勘弁ね。まぁ間違いを指摘してくれるならこちらとしてはありがたいです。
さて、講義動画もない状態で自力で考える、というのは正直自分には荷が重い。でもまぁ、とりあえず与えられた行列をジョルダン標準形にするくらいなら出来るようにしておきたい、というのはあるわけ。
それに計算ができるようになれば、後々理屈の部分を考えるときにも役に立つだろうしね。
そういうわけで今回はジョルダン標準形その1、として3次正方行列のジョルダン標準形で、さらに特性方程式が3重解を持つ場合についてあれこれ考えていきます。
まず第一にいうなら、任意の正方行列をジョルダン標準形に出来る、というのは既知、とする。この辺りは一般固有空間の話の続き、という感じになるのかな。ともかくそうだとすると、与えられた行列Aは適当な正則行列Pによって次のようにジョルダン標準形Jに直せるわけ。
さらに3次のジョルダン標準形は対角化可能なものを除いて、さらにブロックの位置を無視すればこの2通りしかないはず。
そこでこの2つについて考えていくことにします。
まずはひとつめ、こっちの形からね。
Aは与えられた行列でλは固有値。これをPの列ベクトルについてばらすとこんな風になる。
さらに見やすいようにこれを縦に並べると
とか、
となるのは良かろう。
さて、ここから具体的なPを求めるわけだけど、まずp_1がλの固有ベクトルであることに気付く。固有ベクトルは普通に求められるはずだから、それをp_1とすればよかろう。
ちなみに固有空間の次元がジョルダン細胞の数と一致する、というのは言っておくべきか。今回の場合、標準形はジョルダン細胞1個からなるから、固有空間の次元は1だし、そこから固有ベクトルは(定数倍を除いて)ひとつしか取れないことは注意かな。証明は自分もまだだけど、なんとなく次元定理的なものと背理法で何とかなると思うけど。いずれにしろ今後の課題ではあるよ。
さて、p_1が決まれば最後の図の2番目の式からp_2が求まり、さらに3番目の式からp_3が求まる、という流れ。
自分なりにいくつか問題を見たけど、固有空間の次元が1のときはこれでうまくいくみたい。なんとなくp_2やp_3がちゃんと取れるのか、連立一次方程式の時みたいに、解なし、みたいなことにならないのか不安はあるけど、その辺は今後の課題、ということで。今回は標準形を計算する、というのが主眼なので、とりあえずここまでで。
続いてもう一つの方を見てみますか。こっちの形ね。
上と同様にばらしてみると
さらに見やすく並べてみる。
さて、今回の場合、標準形に含まれる細胞は2個だから、固有空間の次元は2だとわかる。一方で最後の図の上2つの式から、p_1,p_2は固有ベクトルだから、この2つは固有空間の基底の一次結合の形をとる必要があろう。
とは言っても、p_1については他と無関係なので、計算した結果の2つの固有ベクトルの一方を取ればよかろう。
p_2については、p_1で選ばなかった方の固有ベクトルでうまくいくならいいんだけど、あいにその形によってはp_3が選べない、つまり連立一次方程式の解なし、の状態になる可能性があるみたい。
したがってその時は固有ベクトルの一次結合の形でp_2選ぶ必要が出てくるようだけど、現実問題としてp_2を先に選ぶよりは先にp_3を固有空間に含まれないベクトルとして選んで、そこからp_2を選ぶのがいいのかな。
ちょっとこの辺は言葉だけだと伝えづらいし、実際の計算を見てみるのがいいと思うけど。
さて、本日はこんなところ。次回は実際の行列を用いて計算方法を吟味してみる。実はすでにいくつか計算してるんだけど、ベクトルの選び方は結構自由で、逆にあれこれいじって変化を見てみる、というのも出来そうです。