シローの定理に入ったけど、まずは一個ずつ、という感じ。
群論の最終局面であるといってもいいと思うけど、いよいよシローの定理について学習しています。
シローの定理というと四つに分類されるのかな?とりあえず示すべきお題が四つあるので、一つずつ見ていく感じ。本日はシローの定理(1)という感じです。
動画はいつも通りこちらね。
代数学からだけど、いよいよ群論も終わりが近い。まぁだからと言って時間的にすぐ終わる、というわけではないのが何とも。まぁ先に行きますか。
まずシローの定理(1)だけど、お題はこんな感じ。
G:有限群、p:素数、m:pと互いに素な自然数、として、さらにGの位数をこう置く。
この時、Gの部分群Hが存在して、
を満たす。
というもの。特定の位数の部分群の存在を保証するわけです。まぁお題については動画を見ればよりはっきりするはず。ここでは先に行きますか。
あ、そういえば証明に入る前に一つ。動画では集合をSで表してるけど、ここでは文字としてTを使ってます。理由は最後に述べるけど、一応注意ということで。
まずはこんな集合を考える。
Xの元は一つ一つが集合であることに注意。さらに集めた集合は全部位数が同じ、というのも。いかにも作為的に集めた、という感じで、果たしてどんな仕掛けがあるのかな。
ともかくこの集合Xに対して次の作用を考える
作用であることは省略して、作用が出来た、ということは色々導き出せるわけ。具体的には軌道と安定化部分群だけど、それぞれこんな感じ。
定義通りで特に言うこともなし。ただしここからラグランジュの定理により次が成り立つ。
安定化群と軌道の位数に関する関係です。とりあえずここまでざっと来たけど、どうということは無かろう。
ここでXについて考えるけど、定義から位数p^a個の集合の集まりだから、Gの元全体(p^a)m個の中からp^a個の元を取り出す組み合わせ、を考えるとそれがXの位数になるだろう。
この辺、講義の中ではヘビーな式が出てきてぎょっとするけど、よくよく考えれば高校レベルの順列組み合わせの基本だし、特にギミックもないので何とかなるはず。もし迷ったら7C4とかを実際に書きだしてどういうことか状況を整理すればすぐにわかるだろう。
よってその辺をすっぱり略して得られる結果だけを書くとこうなる。
ある軌道があって、そこの位数がpの倍数にならない、ということ。さららにこれと先ほどのラグランジュの定理から次のようになる。
左辺はpの倍数でないんだから、右辺の分数の分子に出てくるpの個数は分母で全部打ち消されるはず。そうでないと左辺がpの倍数になっちゃうからね。
ということは分母であるTの安定化部分群の位数はp^aの倍数となるだろう、と。とりあえずこの結果が①という感じ。
続いて先に行くけど、まずは安定化部分群を使ってTに次の作用を施す。
これが作用であることは略。重要なのはTに対してTの安定化部分群を作用させる、ということ。これによってこの作用がTの中だけの話になって、外に飛び出すことがなくなるわけ。
さて、作用があればいろいろわかる、ということで、今回はこの作用の軌道に注目する。すなわち
を使って、Tを軌道に分類するわけ。イメージはこんな感じ。
重要なのはこの軌道がTの外に飛び出すことはない、ということかな。あと、軌道だから当然Tを余すことなく分類することが出来るだろう、と。ということはこうなる。
はい、きれいに分けました。tiが何個あるかはわからないが、とにかくこれでTの位数についても類等式を考えることが出来るはず。
こういうことね。さらに軌道についての考察を進める。
は今回の作用の定義から、作用としての演算じゃなく群としての演算を用いることが出来るだろう。つまり作用を表す・を消して
こうなる。右辺は群の演算を考えてます。ここで右辺の中身をよくよく考えてみると、これはtiのGT(Tの安定化部分群ね)による右剰余類と考えることが出来るだろう。
剰余類なら各位数はGTに等しいからこうなるはず。
ということは、軌道がもともと何個あるのか知らんが、その個数をnとでも置いてこう書けるだろう。
さらにもともとTの位数はこうだから
以上の流れの最初と最後をつなげるとこういう等式が出来るわけ。
これはGTの位数がp^aの約数であることを示してている、と。この結果を②としますか。
さて、以上の①、②からGTの位数がp^aの倍数であり、かつ約数でもあるから結局これらは等しいだろう、と。不等式で書けばよりすっきりしそうだけど。
ともかく以上により結論として位数がp^aの部分群が確かに示された、ということになるだろう。
ふぅ、これでシローの定理(1)はとりあえず終了かな。自分的にはGTのTに対する作用の部分で大分悩んだけど、何とかまとめることが出来たよ。
シローの定理の証明はググると他にもみられるけど、結局GTのTに対する作用の部分がネックになるのでどれを見ても違いはなさそうな印象。逆にここがわかれば他も何とかなるだろう、と。
さて、これで今回は終了だけど、最初に言ったこと、集合をSじゃなくてTで表したことについて。
これは文字Sというのが大文字と小文字の区別がつかない、というのが大きい。今回の証明で二番目に悩んだところがそこだったし、こんな、本筋と無関係な場所で悩むのはいかにもばからしい、ということで文字Tを採用しました。
特に安定化部分群の表記については大文字のTを横に小さく描く必要があるし、それをSで表すとなるとどうにもならなかった。
見やすさ、というのも時には証明の本質に関わり得る可能性がある、ということかもね。