行列の積の行列式を上三角行列を使って考えてみる
とりあえず最初に行っておくけど、間違いの可能性もあると思うので、そこのところをお含みおきくださるよう。
さて、今回は行列の積の行列式について考えたんだけど、予備知識として必要なことをまず見ていこうかと。まぁ定義の確認みたいなものなので身構える必要はないと思うんだけど。
まずは上三角行列について。とりあえず見た目はこういうやつね。
これについてはちょっとググればどういうものかはいくらでも出てくるし、手持ちの線形代数の教科書を見ればどういうものかわかるはず。というわけでここでは上三角行列の持つ特徴を三つほど上げておきます。
1.行列式が対角成分の積になること。
これは展開すればすぐにわかること。問題はないはず。
2.上三角行列どうしの積が再び上三角行列になること。
これも実際にやってみればすぐに確認できるはず。
3.上三角行列どうしの積の対角成分は、各行列の対角成分どうしの積になること。
これは言葉にするとややこしいけど、こちらを見れば一目瞭然。
上三角行列というのは、対角成分に注目するとかなり見通しのいい行列だと感じますね。
とりあえず上三角行列について必要な知識はこんなところ。特に間違いはないと思うけど、もし間違いがあれば以下の文章は意味をなさなくなるので注意は必要だと思う。自分が言うのもどうかと思うけどね。
続いて必要なのが基本変形について。行列の変形は基本変形の積み重ねが基本なので、基本変形について言えることはすべてに通じる、という感じ。
今回必要な基本変形は二つで
P、j行のc倍をi行に加える
Q、行の入れ替え
です。列についても言えることを頭に入れつつ、さらにこれらの逆行列についても一言。Qは逆行列も同じだから良いとして、Pについてはcを-c倍するだけなので、結局これらの逆行列も基本変形といってよかろう、ということ。
これらは明らかといっていいと思うけど、心配なら逆行列を実際に計算することも容易のはず。
さて、次にこの二つの基本行列についてだけど、繰り返し使うことで任意の正方行列を上三角行列に出来るというのは、これも明らかといっていいのではないか。実際に44行列あたりで調べてみれば確かに可能なことが実感できるはず。
もし証明が必要だと思うなら、行を一つ一つ入れ替えるとか?そういう基本変形の過程を具体的に示すことになるのかな。実際、迷う要素はゼロが出てきた時だけだろうし、その時の論証をしっかりすれば大丈夫だと思うよ。
さて、最後にP、Qと、一般の行列Aとの積の行列式について考える。といっても定数倍を他の行(列)に加える操作はAの行列式を換えないし、行(列)の入れ替えは一回当たり-1をかけることで調整できる。つまりこういう感じ。
逆行列まで書く必要はなかったか。基本行列であることに変わりはないし、以下ではそれだけが重要なので。
さて、これでとりあえず準備完了。それではこれから本題に入りますね。
まず行列Aを上三角行列にする手順を考える。
ここでP,Qは適当な基本行列の集まりと考えてほしい。順番も基本変形の順番に従うイメージなので、こんな風にきちんとP,Qが分かれているわけではないことは気を付けるべき。ここではあくまで表記上の問題でPQにしてるだけです。
さらに逆行列についてもすでに述べた通り基本行列であることは承知されたい。
さて、Aがこのように表記できたということはAの行列式はこう書けるはず。
ここでkは行の入れ替えの回数、つまりQの使用回数を表す。Pは何回使っても行列式に変化はないのでQだけ考えればいいというわけ。
さらにここでは一気に計算を進めたけど、本来は基本行列がなくなるまで一個づつ処理してる感じです。もともと一個づつ進むことしか示してないしね。
それじゃあいよいよ本丸に入りますか。とりあえずこちらを。
適当な基本行列を使うことでAは行基本変形、Bは列基本変形を施して、それぞれ上三角行列にする。P,Qについては先ほど同様基本行列がたくさん並んでるイメージで。インバースの表示は本質的にはどうでもいいこと。
さて、これの行列式を取れば、このような計算結果が得られるはず。
k,lはそれぞれA,Bに対して入れ替え行列を使った回数を表す。これで念願の行列式の積の結果が得られました。
どうだろうね。間違いはないと思うんだけど、そういうときこそ穴があるというのはしばしば経験することだけど。ともかく自分的にはこれで面倒な成分計算をせずに行列の積の行列式の話が出来たと思う。間違ってたらごめんね。
あと最後、ついでにこの形の行列式についても触れておこうかと。といってもやることは一緒だけどね。
これも教科書でよく見る形だけど、こっちは両方とも行変形することで話がまとめらるはず。結果が同じというのは気になるけど、何か図形的な意味が見いだせるのかな?