KYUTAMのブログ

大学レベルの数学を中心に物理、英語学習、雑記なども適当に入れていくブログです。

基本近傍系の性質とか

ここの所ちょっと忙しくて勉強が滞りがちかな。そのせいで分量も決して多くないけど、まぁちょっとずつでも先に進むように心がけるしかないでしょうね。ともかく本日は基本近傍系の性質について。テキストはいつも通りこちらからね。

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で、早速だけど基本近傍系の性質として4つほどあげられてます。こんな感じ。

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きちんとした表記はテキスト参照のこと。自分としてはこれくらい書いてあれば十分だろう、と。あまり良くないとは思うけどさ。

 

さて、基本近傍系の性質を確認する、という箇所だけど、これは次回にこれらの性質を満たす集合族から位相を作る、という、いわば逆をたどるための準備と言えよう。

 

これは閉集合族から位相を作る、という流れと似たようなものか。ともかくそんな感じなので、とりあえず今は開近傍系の性質についてきちんと確認しておく必要がある、と。

 

 

さて、この辺を学習するにあたって欠かせないのが近傍や基本近傍系の定義。この辺はあまりにしばしば使うので、改めてここに定義を出しておく。いちいち別で確認するのも面倒だしね。

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さて、これで準備が整ったのでそれぞれの性質を証明していく。まずはNB1だけど、これはテキストにはきちんとした証明が出てないし、かといって、その内容もよくわからんので自分で証明する必要があるわけ。こんな感じね。

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以上。NB2もついでに。ちなみにこれらは合わせて①みたいな感じでまとめてる講義も見たよ。自分としてはこうして細かく分けてくれた方がありがたいけどさ。

 

あと、テキストでXがUxに含まれる、と書かれてるんだけど、これは良くわからんね。正直間違いじゃないかと思うけど、それも確信をもって言えるものじゃないし、無視するしかないか。

 

でも教科書が間違ってる、というのは決して珍しいことではないし、一応そういう可能性も考慮に入れておくか。そのうえで自分が理解できる範囲での証明を自分で探す、と、そういう態度が重要だと思うわけ。

 

 

続いてNB3。こんな感じね。

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一旦開集合を挟む、というのがミソと言えばミソか。そうでないと共通部分についてうまく話がまとまっていかないと思う。でもそこさえ通ればほぼ一直線で証明が終わる印象。

 

 

最後にNB4ですね。

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こっちは条件から基本近傍系に属する集合を構成する感じか。証明が二つに分かれるので、それだけは注意かな。まぁ見にくい、という感じでもないと思うけど。

 

今ちょっと思ったけど、UyからWが取れる、というのはNB1を使ってる、と言えるのかな。それで問題はないと思うけど。学生ならすぐに質問できるんだけどね。この辺はまぁしょうがないので、自分なりに納得するしかなかろう。

 

 

さて、これで基本近傍系の性質は一通り終了。ひたすら定義を確認する作業が続いた印象だけど、そのおかげで位相に関するさまざまな定義もだいぶ身についてきたように思う。

 

これなら次も行けると思うけど、次はテキストで初学者は読み飛ばしも可、とか書いてあるので不安はあるかな。まぁそれもあって、いったんここで切った、というのもある。

 

今の自分ならついてけないことはないと思うけど、果たしてどうなるかね。

 

 

近傍とか基本近傍系というのは局所的な概念、ということでいいのかな

定義を見てみると近傍とか基本近傍系というのは、位相空間の一つの元に対して使われているようで、そのことをあらためて意識しておくと理解がしやすいかも。自分は初めて基本近傍系という言葉を目にしたとき、わりと大域的な概念だろうと勝手に思ってたし。

 

さて、それでは本日だけど、基本近傍系について考えていきたいと思う。テキストはいつも通りこちらね。

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とりあえず近傍については前回やってあるのでいいか。でも定義だけは示しておこうかな。こんな定義だったはず。

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さらに今回学習する基本近傍系の定義がこちら。

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近傍との定義の違いは、Vに含まれる集合Uをどこから取ってくるのか、というくらいしかない。さらにテキストによるとこれと同値な命題がこちら。

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定義の近傍を開近傍に置き換えても同じだよ、ということ。近傍よりは開近傍の方がずっと絞られてるんだから、よりタイトに言い換えられた、言えるだろう。

 

ちなみにこの辺の言いかえの正しさはテキストで確認してほしい。自分の理解が違っている、という可能性があるわけだしね。特にVに対するUの取り方については自分の書き方が悪い気もするし、どういうことかは確認してほしい。

 

 

さて、まずはこの同値性を証明するけど、①から②への言いかえは良かろう。開近傍は近傍なんだから自明のこと。逆に②から①へはこんな感じ。

 

まずは近傍の定義を使って

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となる。さらに開近傍の定義から次が成り立つ。

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これで仮定の②が使えてこうなるだろう。

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するとこのUを使ってこういう包含が成り立つから証明終了、と。

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大丈夫だと思うけど、とりあえずこんな感じか。テキストにやれ、と書いてあったし、自分としてもそのつもりだったけど、思ったよりはすっきり証明できたと思う。あと図中の「だら」は「だから」ね。

 

 

さて次だけど、近傍の全体は基本近傍系、開近傍の全体は基本近傍系は良かろう。定義を理解してればそのまま、という感じだし。一つ注意するとすれば、あくまでXの元xについての話、ということかな。

 

この辺は自分的には微積分の連続の定義、点aにおける連続、とかそういうことを思い起こさせる。それが正しいかはわからないけど、あくまで1点における話、ということだけど。

 

 

続いて距離空間における基本近傍系の話なんだけど、これは注意が必要だと思う。まずはテキストによる定理を見てみる。

 を距離空間とする。このとき、x\in X に対して次の集合族は x の X における基本近傍系である。\mathcal{U}_x=\{B(x,r)\,|\,r>0\}

Uxのxが変な場所に出てるけど、気にしない。気になるならテキストで確認のこと。そもそもこの定理の問題はそんなことではないのでね。

 

さて、この定理を見ると距離空間からいきなり基本近傍系の話が出ている。しかし基本近傍系は近傍を用いて定義されているし、その近傍は開集合を使って定義されているわけ。

 

ということは思考の土台にあるのが位相空間なわけで、それを指摘せずに距離空間で話を進めるのは、少なくとも自分レベルの学習者にとって不親切であるのは間違いないだろう。自分で言うのもなんだが。

 

もちろん距離空間から開球、開集合、位相、という一連の流れがあるのは学習済みだが、それを一言添えてあるだけでずいぶんわかりやすさが向上するはず。著者にはそういう気遣いを失ってほしくないと思うがどうだろう。

 

さて、その辺をしっかりとらえられればこれらが基本近傍系になるのも自明と言えるだろう。

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最後に離散空間、すべての部分集合を開集合とする位相空間ね、これについての考察も定義の確認には有用だと思う。一点集合{x}が開集合であることとか、開近傍であることとか、さらに基本近傍系としてはこの一点集合一つだけで充分であることとか。

 

これらはすべて定義から直接出てくることだけど、理解がとっ散らかってるようだと何を言ってるのかわからない、ということは普通にありそう。その辺はまとめておきたいね。

 

あと孤立点、という用語が出てきたね。

位相空間 X の点 x は、\{x\} が開集合であるときに孤立点(isolated point)であるという。

これが今後どうなるのかわからないけど、用語の定義はきちんと頭に入れておくべきだろう。

 

 

さて、今回はこんなところ。自分なりに理解可能なレベルまでやる必要があるので、わかってる人にはいかにもくどい、ということはありそう。でもこればっかりはしょうがない。

 

どこまで戻れば理解できるのかは人によってさまざまだろうし、自分としては自分が理解出来るところまで行かなきゃどうにもならないし。

 

今後もくどい話が続くだろうけど、それについてはあきらめてもらうしかないだろうね。

 

 

近傍という概念をしっかり固める作業は欠かせないだろう

位相空間において近傍という概念が出てくると大分考えが散らばりだすというか。結局次々出てくる新しい概念に飲まれて、全部訳が分からなくなる、というのが普通の状態だと言えよう。たぶん学生時代の自分はそんな感じだったと思う。

 

今回はそういった轍を踏まないように、定義をいちいち確認しながら先に進むつもりです。そのため進行は遅くなりがちだけど、それはしょうがないだろう。

 

ともかくいつものようにこちらで学習していきますね。

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さて、まずは近傍の定義だけど、その前に思考の土台となる舞台設定を確認しておく。近傍を考えるにあたって必要なのがこちら、位相空間になります。

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近傍の定義に開集合が出てくるんだけど、そのため位相は必需品と言える。ただしこの段階で図によるイメージ、こんなやつね、

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こういうイメージが適切かは微妙なところ。こういうイメージは明らかに開球を想像させるけど、現状では開球という概念が使える状況にはないと思う。あるのはあくまで位相空間だけで、そこに存在する開集合については具体的なイメージはほぼゼロ、と言っていいだろう。

 

その辺を踏まえつつ、近傍の定義がこちらになります。

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先ほども言ったけど、近傍の定義に開集合が使われていることは割と重要だと思う。この先の証明にも使われるし、意識しておくべき。

 

あとこの定義から直ちに、xを含む開集合がxの近傍になることも言えるだろう。位相でよく使われる、U⊂U を使えばすぐにわかること。

 

さらに新たな定義として、近傍Vが開集合なら開近傍、閉集合なら閉近傍と呼ぶ、と。そこから次の二つが同値になることが言える。

 を位相空間とし、x\in X とする。V\subset X に対して、次の二つは同値である。

  • (1) V は x の開近傍である。
  • (2) V は開集合であり、かつ x\in V である。

 これは定義を考えればほぼ自明、と言っていいレベルの話。例えば開近傍なら開集合は当然だしね。そのレベルのことしか言っていない、ということを意識するべきか。

 

さて次に来るのが近傍の有限個の共通部分がまた近傍になる、というものだけど、これは位相における性質、開集合の有限個の共通部分がまた開集合になる、というのを使えばこれもほぼ自明と言っていいだろう。

 

 

さて、近傍に関して最後に出てくるのがこちらの同値条件。

位相空間 X の部分集合 U に対して、次の二つは同値である。

  • (1) U は X の開集合である。
  • (2) 任意の x\in U に対して、x の X における近傍 V であって V\subset U となるものが存在する。

 こっちも証明は定義通りやればどうということもないんだけど、一つ言うとしたら2から1を示す時に、1に開集合が出てくるのに、2には開集合が出てこないことはちょっと迷った。

 

この段階で開集合には具体性がないわけだし、どこから開集合をひねり出すのか?ということなんだけど、そこで出てくるのが2に出てくる近傍という概念なわけ。

 

結局近傍から出てくる開集合の和集合がUになる、という流れだけど、自分はそこだけは考えたよ。そして改めて近傍の定義を見直して再びここに戻って何とか納得できた、という感じでした。

 

 

さて、とりあえず近傍の定義はこんなところか。ほぼ何もやっていない、という印象だけど、それでも定義をきちんと納得するのも大変なのよ。

 

次回は基本近傍系、という話だけど、少し考えて何とか行けそうな雰囲気ではある。出来るだけ早く次の更新、と行きたいね。