KYUTAMのブログ

大学レベルの数学を中心に物理、英語学習、雑記なども適当に入れていくブログです。

作用から来る軌道とか安定化群と剰余類のまとめみたいな

作用とか軌道とか安定化群についてはやっと今回でひと段落する予定。色々考えた末にやっと何とかなった、というところだけど、とりあえずどんな感じか見ていきますか。

 

まずは作用から来る色々なことをまとめてみる。ていうか、今回の下準備的な。

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前回も出したけど、作用とか軌道、安定化群についての定義的な。さらに

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こっちは剰余類から軌道への全単射を表してるけど、これが全単射であることはAKITOさんの講義で示されてるし、証明自体もどうということもないだろう。

 

ただしそれぞれの集合の中身、特に軌道の中身は明示しておく必要を感じる。自分は最初軌道というものがいくつもあって、一つの軌道に一つの剰余類が対応する、と勘違いしてたし。もちろんそれで詰まったんだけどさ。ともかくそれぞれの中身はこんな感じ。

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剰余類については問題ないと思うけど。あと軌道についてだけど、各剰余類に対応するのは軌道に含まれる元ね。最初はこの対応がわからなくてもたついたよ。今から見れば書いてあるじゃん、ということなんだけど。

 

さらにこの段階で注意するべきことはxが固定されていること、くらいかな。まぁそれは定義のことだけど。

 

ここでもう一回、剰余類と軌道についてそれっぽい図を置いておく。参考になるか知らんが。

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これで大体何と何が対応するか見えてきたんじゃないかと。いや、さすがにまだか。最後に下準備として軌道-安定化群定理と呼ばれるらしいものを置いておく。

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一応これが最終的な目標なんだけど、これ自体はラグランジュの定理と先ほどの軌道と剰余類の全単射により、すでに終わってる内容とも言えよう。

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したがってこれで話は終わり、ということでもあるんだけど、生憎これで全部理解できるなら苦労はないというか。

 

自分としては剰余類と軌道の対応について明確なものが欲しいと思ったし、それがわからないと定理の意味も無くなるだろうと思ったわけ。

 

 

というわけでこれからが本題だけど、まずはxを固定して、xのGによる軌道G・xに含まれる元の個数を三つとして考える。もともとこの辺は全部有限群で考えてるし、物事を明確にするのならこれで十分だろう、と、そういう感じです。

 

ともかくこうしますか。

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ちなみにxがG・xに含まれるのは良かろう。Gの単位元を作用させればいいだけだしね。ここではその他に二つ、x1とx2が軌道に含まれる、として考えていく。

 

一応上の話からG/Gxの剰余類は3つで、それらがG・xの元一つ一つと対応する、ということは確か。ただ現状ではどんなふうに対応するのかがわからない、ということね。 

 

そこでまずこんなものを考える。x,x1,x2は軌道G・xに含まれるからそれぞれ作用を使ってこんな対応が付けられるはず。

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これは軌道の定義がそもそもそういうものだったはず。これを踏まえて次のような三つのGの部分集合を考える。

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それぞれxを軌道内のどこに飛ばすか、ということで作用であるGを分類するわけ。ちなみに①はGxの定義と一致するのがわかる。つまり

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ということ。これも定義そのものだし当然と言えよう。繰り返しになるが、①に含まれる作用はGxそのもの、ということね。

 

続いて②について考える。まずx1はG・xの元だからある作用g1があってそれは②に含まれるだろう。

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ここでさらに②に含まれる別の元hを取る。

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するとそれぞれに次が成り立つ。

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ここで④、⑤それぞれにg1の逆元を作用させてx1を消去すると

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こんな風にg1(-1)hがxの安定化群、つまり①に入ることがわかる。g1の逆元の書き方はご愛敬。図を見て理解してほしい。ともかくそんな感じで次が言えるだろう、と。

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これを書き直すとこうなるはず。

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これで何が言えたか、というと②に含まれる任意の元はg1Gxという剰余類に含まれる、ということ。さらに剰余類ということからどの代表元をとっても構わないので、g1Gx

とhGxは同じもの、ということになろう。

 

ということで②はG/Gxの元の一つと対応することになるはず。③についても同様のことが言えるが、ここで改めて①、②、③を考えること、これらはもともと軌道G・xに含まれる元と一対一に対応する。これはその作り方を見れば自明であろう。

 

以上より、軌道G・xに含まれる元とG/Gxの元とが一対一に対応することになる。

 

 

とりあえずこんなところかな。一応②の元が①に含まれないことは指摘するべきだったか。定義から明らかでいいと思うんだけどさ。

 

ともかくこれで作用と軌道、安定化部分群の話は終了ですね。自分としてもこの辺がかなり明確になったし、これ以上この辺をちょろちょろするよりはとっとと共役類の話に行きたいし。

 

最後にこの辺の話は物理のかぎしっぽさんのホームページの代数学のコーナーで勉強しました。

hooktail.sub.jp

ここは群論を学ぶにあたって参考にしたところで、特に作用について具体的なイメージを作るのに有用だったので興味があれば。ていうか、今回の自分の学習はほぼここ頼みだったよ。

 

軌道とか固定化部分群(いちいち変えて申し訳ないけど、安定化部分群と同義。用語は統一したいんだけどね)について勉強するなら一度そっちを見てみるといいと思うよ。少なくともこのブログよりはわかりやすくまとめられているし。

 

まぁこのブログは他人に勉強させるつもりはみじんもないし、単なる読み物、という感じだしね。